みなさん、こんにちは。私は多摩美術大学 芸術人類学研究所 iaa_info@tamabi.ac.jp
(Institute for Art Anthropology, Tama Art University,Tokyo,Japan)
所長の 鶴岡真弓です。



図説 ケルトの歴史―文化・美術・神話をよむ (ふくろうの本)

図説 ケルトの歴史―文化・美術・神話をよむ (ふくろうの本)






多摩美術大学 芸術人類学研究所 所長・鶴岡真弓よりメッセージ】


 多摩美術大学・芸術人類学研究所(IAA)は、近く創立80周年を迎える本学の未来に向け、2006年八王子(鑓水)キャンパス内に新設されました。
 本研究所のある鑓水の丘は、その昔から多摩・八王子伝統の養蚕と絹織物が横浜経由で海外へと運ばれた「シルク・ロード」沿いにあり、さかのぼれば一万年前の縄文文化が育まれた場所にあります。
 研究所はこの土地の力と一体となり、長きにわたる人類史とともに歩むという自覚から、文字通り「土地と力」をテーマとしたシンポジウム・研究会も開催しています。
 本研究所は「芸術人類学」というディシプリン(学問)を掲げ、シンポジウムや研究会の開催、刊行物『Art Anthropology』の発行など、多彩な活動と発信をおこない、研究成果を学生のみならず、広く社会一般の方々にも公開しています。
 人が営むあらゆるアート&デザイン、思考、実践を、人類の壮大な旅における「生命再生の表現」としてとらえ、内外のさまざまな研究・教育機関との連携によって、本研究所活動が、豊かな結び目となっていくことを目指します。
 多摩美術大学・芸術人類学研究所の諸活動に、みなさまからのご支援、ご指導を宜しくお願いいたします。
 
 多摩美術大学 芸術人類学研究所 所長  鶴岡真弓


アイルランド の歌姫 エンヤさんと龍村仁監督【地球交響曲第一番 ガイア・シンフォニー】より
(エンヤさんの故郷・ドニゴール地方の海岸のシーン)


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鶴岡真弓の2014年 学内外でのこれからの講座・講演


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◆◆朝日カルチャーセンター 新宿 

講座    名レストランで学ぶ
西洋美の謎と輝きを味わう・アイルランド

日時 2014年3月4日 (火)  12:30-15:00

講座内容  

郷愁を感じる暖かな空間が多く人の心を癒すアイリッシュパブ。素朴な伝統を感じる店内で、アイリッシュ料理や、文化・芸術、その魅力の味わい方などを、楽しく語ります。

要:お申込み→朝日カルチャーセンター 新宿「野外講座」係
 新宿 TEL 03-3344-1941
  月〜金曜 9:30〜19:00 
  土曜   9:30〜18:30


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◆◆朝日カルチャーセンター 新宿 講座

装飾の美術文明史 第9回 「アラベスク」とオリエンタリズム
 2014年3月1日(土)  15:30-17:30
御好評のうちに終了 
 (次回は5月!シリーズ講座です。お楽しみに!)

講座内容
アラベスク」という呼び名はヨーロッパの人々が編み出した言葉です。元々「アラビア風」を意味し、文様美術ではイスラーム美術に特徴的な蔓草風の文様や幾何学文様です。近代、特に19世紀には植民地支配の対象となった「東方世界(オリエント)」の美的象徴となっていきました。建築、金属工芸、織物、刺繍、絨毯、絵画などに広く伝われて流行し、政治的にも利用されていきました。東洋のアラベスクという印象的な装飾/文様は、西洋芸術にどのように関わったのか、近代ヨーロッパの欲望を満たす「イメージ」と「メディア」としてどのようのはたらいたのかを、時代背景と共に深く考察していきます。
古来より人間は神々への祈りや自然に対する畏敬の念を「装飾文様」に託しました。ユーラシア大陸西端の「ケルトの渦巻」から、「イスラームアラベスク」、「ヨーロッパ近代のアールヌーヴォー」、「極東・日本から発信されたジャポニスム」まで、細部にやどる「装飾の世界」をシリーズで旅する講座です。 (講師・記)
 
<参考書> 
すぐわかるヨーロッパの装飾文様〜美と象徴の世界を旅する』(東京美術
※当日、カウンターで販売いたします。


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本のご紹介



生物学者福岡伸一さんが、小説・建築・文明・芸術などの多様なテーマを、多彩なゲストと語りあった対談集動的平衡ダイアローグ』(木楽舎発売されました。

本書において、福岡さんと、多摩美術大学・芸術人類学研究所・所長の鶴岡真弓との対談は、「ケルトの渦巻文様と動的平衡」がテーマです。

生命と文様芸術のつながり! どうぞお楽しみください。


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辻井喬 & 鶴岡真弓ケルトの風に吹かれて』〈北沢図書出版)


ケルトの風に吹かれて―西欧の基層とやまとの出会い




小説家・詩人の辻井喬氏(=西武セゾン文化の象徴であった堤清二氏)が2013年11月25日に逝去されました。生前、辻井氏は、アイルランドケルト文化に深く興味を抱かれ、鶴岡真弓「西洋の古層ケルトと日本〈大和)」の自然信仰と神話をめぐって対話をされました。


その後、福岡に拠点のある「日本ケルト協会」での対談(そのとき辻井氏のご登壇は、アイルランド音楽界の大御所・チーフタンズ来日講演を福岡で実現・成功させる原動力となりました)。


また多摩美術大学・芸術学科+芸術人類学研究所共催「21世紀文化論」でも、再び、「ケルトと日本」について、辻井×鶴岡の対談が実現しました。


本書は、芸術と実業の世界にまたとない豊饒と功績を遺した不世出の表現者にして行動のひと「辻井喬」氏と、ケルトと日本の基層文化の記憶と未来をみつめた本です。


どうぞ、しみじみとケルト文化に触れてください。


辻井氏のご冥福を心よりお祈りいたします。


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【これまでにおこなった他の講演・講義 ご参加まことにありがとうございました。】


シンポジウム「精神の〈北〉へ」出演
2014年2月2日2014年2月12日
鶴岡真弓所長が、下記シンポジウムに出演しました。

はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト2013  精神の〈北〉へプロジェクト

【シンポジウム】「精神の〈北〉へ–北なるものの精神史–」

【日 時】    
2014年2月2日(日)15:00-18:00

【会 場】    
喜多方蔵の里イベント蔵(喜多方市字押切2-109)

【発表タイトル】
ケルト文化と北方の生命観–動植物信仰でつながるユーラシア世界–」
鶴岡真弓

【パネリスト】  
鶴岡真弓多摩美術大学教授/美術文明史家/ケルト芸術研究家)

藤浩志(十和田市現代美術館副館長/美術家)

田附勝(写真家)

【司 会】    
赤坂憲雄福島県立博物館長/はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会委員長)

【主 催】    
はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト実行委員会

「精神の〈北〉へ vol.2」実行委員会

【後 援】
喜多方市ふるさと振興株式会社



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◆京都講演 
ケルトから地球の未来へ】
10/9(水)13時より・@京都文教大学

鏡リュウジコーディネートの京都文教大学・連続シンポジウムで
多摩美大IAA所長の鶴岡真弓が講演.
鏡リュウジ先生たちとステージでトークもします。

無料・申込不要です。ぜひご参加ください!
会場:アクセス 京都文教大学 http://www.kbu.ac.jp/kbu/intro/acess.html


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【お知らせ】

なお下記の東京・お台場での10月12日(土)のイヴェントは
お陰さまで満員御礼となりました


「土地と力」シンポジウム−天と地のコレスポンダンス−への、参加ご応募ありがとうございました。

みなさま、今後の第2回の開催をお楽しみにまたご応募ください!
何卒宜しくお願いいたします。


<開催概要>
主  催 :多摩美術大学 芸術人類学研究所
タイトル :第1回「土地と力」シンポジウム
      天と地のコレスポンダンス――自然科学×芸術人類学
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日  時 :2013年10月12日(土)14:00〜16:00(13:30開場)
会  場 :日本科学未来館 7階 みらいCANホール
参  加 :参加費無料。
     


<講演者>
渡部 潤一氏 国立天文台副台長/総合研究大学院大学教授)
リュウジ氏(心理占星術研究家/翻訳家/京都文教大学客員教授
鶴岡 真弓氏 多摩美術大学芸術学科教授/芸術人類学研究所所長)


<プログラム>
第1部 :講演1 渡部 潤一氏 「人類の宇宙観の変遷 ー古(いにしえ)から現代までー」
    講演2 鏡リュウジ氏 「天の星 大地の星」
     講演3 鶴岡 真弓氏 「レオナルド・ダ・ヴィンチの文様と天文学
第2部 :トークセッション

会場 :日本科学未来館 7階 みらいCANホールhttp://www.miraikan.jst.go.jp/guide/route/


・新交通ゆりかもめ(新橋駅〜豊洲駅
 「船の科学館駅」下車、徒歩約5分 /「テレコムセンター駅」下車、徒歩約4分



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以下は、多摩美術大学 芸術人類学研究所のウェブ】より:

研究所長メッセージ&研究所の御紹介 掲載中です

所長・鶴岡真弓 ご挨拶

完全版をご覧になられる場合は以下をクリックしてください

http://www2.tamabi.ac.jp/iaa/member/mayumi-tsuruoka/


鶴岡真弓 芸術人類学研究所所長 トップ・メッセージ

▼「アイルランドの歌姫エンヤと鶴岡真弓・所長」アイルランド北西部にて


芸術人類学研究所は、人類の根源的な心の構造と芸術表現の関係を探ることを基軸として、多彩な活動と情報発信を行います。「人類の根源的な心の構造」を問題にする以上、私たちの考える「芸術」とは、従来の芸術学や芸術史が扱う範囲をはるかに超えて、現生人類が誕生した旧石器時代以来、数万年単位のスケールにおいて人間が生き抜くために切実に行われ、表現されてきた幅広い営みを対象とします。このような巨視的な探究を通して、従来分断されていたヒューマニティーズ(人文学)、サイエンス、アートの領域を統合し、新しい人間科学を創りあげようとしているのです。この試みは、近代文明の限界が大きく意識されている21世紀の現在にふさわしい挑戦であると考えています。


アイルランドの歌姫・エンヤと芸術人類学研究所 鶴岡真弓所長」
(映画「地球交響曲ガイアシンフォニー・第一番」(龍村仁監督)のシーンより)

 本研究所はその活動において、特に以下の3つの領域でさまざまな連携による掛け算=結ぼれを作っていくことを目指しています。
1)インター・ディビジョン、インター・ユニヴァーシティ   多摩美術大学学内の多彩な学科、美術館、さらには都心に展開するアキバタマビ、四谷ひろば(CCAA)など、大学内に豊かな連携活動を創造していきます。また、同じ美術大学をはじめとした他大学や外部の研究機関とも、積極的にコラボレーションを行います。
2)インター・ローカリティ   研究所が所在する東京の多摩地区をはじめ、さまざまな場所(ロキ)をつなぐプロジェクトを推進します。その先行例として、大学のキャンパスを活用した植樹プロジェクトや、東京下町のカフェーとの共同研究などが開始されています。
3)インター・ナショナリティ   世界的なブランド企業との共同研究、大英博物館等の海外研究機関との協業、ウラル=アルタイ語族共同研究プロジェクトへの参画など、地球規模の巨視的な活動を推進します。


ハンガリー・ブガツで開催されたユーラシア諸民族大会にて。生命の樹を背景に騎馬民族衣装姿の大会主催者と鶴岡所長」

ポルトガル・アルメンドレスの巨石群の前で(2011年)」


 さて、本研究所は、6つの部門で構成されます。


  私が本研究所で主宰する部門は、「ユーロ=アジア世界の美の文明史」です。この部門では、従来共通性よりは異質性を分析されることが多かったヨーロッパ地域と近東から極東まで広がるアジア地域を、ユーラシア大陸に展開する「ユーロ=アジア」という一つの共通した世界としてとらえ、域内の交流を装飾文化を手がかりとして積極的に見ていこうとしています。具体的には、ユーロ=アジアの西の極みに位置するケルト文化と、東の極みに位置する日本文化との照応関係、ヨーロッパ大陸の考古学が明らかにしてきたケルトの本貫地である中央ヨーロッパケルト語もその一員であるインド=ヨーロッパ語族発祥の地である中央アジアの文明史、そしてさらに東に位置するシベリアから朝鮮半島までの多彩な民族の装飾文化などの考察を行っています。調べれば調べるほど、ユーロ=アジアを舞台に人類が営んできたゆきかいの広がりと奥行きの深さに驚かされます。


 芸術人類学研究所が位置する東京の多摩地区は不思議なところです。現代の巨大都市である日本の首都の版図に属しながら、八ヶ岳一帯までに連なる系譜を持つ豊かな縄文遺跡群に囲まれ、さらに周辺の境川流域は旧石器時代遺跡まで発見されています。つまり、古代的な淵源の深い土地なのです。そのようなローカリティに腰をすえて、人類文化の最古層にまで到達する視点を常に確保し、そしてそのような足場から、ユーロ=アジア、さらには地球全体を見渡した活動を積極的に推進したいと思います。実は、研究所の所在地である八王子市鑓水は、江戸時代から明治の初めにかけて重要な輸出品であった生糸の中継地点として栄えたところでもあります。即ち、上記の八ヶ岳も含む山梨や長野の山岳地帯から集められた生糸を、鑓水商人たちが横浜港まで運び、莫大な富を築いたのです。要するに、日本の野生的な自然の豊かな産物を、インターナショナルな世界に向けて提供していたわけです。そして鑓水から横浜に生糸を運んだ道は、いみじくも、かつてユーロ=アジアを多くの民族がゆきかったものと同じシルクロードと名づけられていたのでした。本研究所も、鑓水・多摩地区に根をはりながら、常に外部の世界と結ぼれを創っていく活動を積極的に推進したいと考えています。

                                                                
芸術人類学研究所 所長 鶴岡真弓